中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
中華風西洋料理

 先日、長年、北京で働いていた友人と話をしていたとき、外食の話題になった。

 「東京は各国料理がリーズナブルでおいしい」と言う。

 

 確かにイタリアンでもフレンチでも、あるいはエスニックやその他いろいろな国の料理でも、比較的お手軽だ。

 もちろん、中には敷居の高い店もあるけれど、それがすべてではなく、平均すれば普通に手の出る範囲だろう。特に、ランチはわりとリーズナブルだ。

 

 でも、北京ではそうした各国料理がおしなべて高い、と思う。

 そもそも、外国料理が北京で増え始めたのはこの10年ほどのことだろう。

 2000年代のはじめごろは、店の数もまだ数えるほどで、しかも駐在員などのガイジンが行くようなところだった。

 そこにお金を持ち始めた中国人が流れ込むようになり、ほどなくして、若者の間でカフェブームみたいなものもおきた。

 

 そうした店では、おしゃれな内装の店内で、コーヒーとともに、パスタやサンドイッチ、ステーキなども提供するようになり、西洋風料理というものが一気に身近になった。

 しかしそれらはなんというか、高いわりに、すごくおいしい!というものでもなく、どことなく「ちょっと違う感」が漂っていた。

 

 それはいまもあまりかわらない。以前よりおいしい店は増えたと思うけれど、値段も高くなった。「値段がチープ=価値もチープ」という価値観の中国で、おいしくて安い外国料理というのは、存在しにくいのかもしれない。

 

 ただ、最近、興味深いと思うのは、家庭でつくる西洋料理のレシピをネットでよく見るようになったことだ。少し前には、北京テレビの料理番組で、ご家庭でつくれるバターとオレンジでソテーした魚と、ブラックペッパーをアクセントにしたパスタなるものを紹介していた。

 

 もっともそれも、「黄油橙汁魚」「黒椒炒面片」という名称からして中華料理風で、出来上がった料理の佇まいがまた、どことなく中華だった。

 たとえていうと、こんな感じ↓(写真は中国のネットに出ていた家庭でつくる西洋料理)。

http://www.xiachufang.com/recipe/101891107/

 

 ちなみに上の写真のレシピについたタイトルは「一時間半で作れる完璧な家庭西洋料理」。

 「完璧?」という突っ込みはさておき、中華料理という、世界に誇る料理文化の長い歴史のなかに、異質の料理文化が入り始め、まだまだ中華よりながら「完璧な西洋料理」なるものが登場することに、味わい深さも感じるのである。

 

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白髪染めシャンプーCMにみる中国の頭髪事情

 昼間、中国のテレビをつけると、高齢者がいつまでも元気に若々しくいるための保健食品のCMがよく流れていて、進行する高齢化社会をひしひしと感じるようである。

 そんな中で、ある日、「伊白氏」という毛染めシャンプーのCMが放映されていた。

 

 ちょうど白髪頭のおじさんがシャンプーをしているところで、白い髪があっという間に黒く染まっていく。

 そして画面が切り替わり、タレントが登場。おじさんの頭髪がしっかり染まっているのを確かめつつ、頭をふいたタオルも服も染料で汚れたりしていないことをアピール。さらに、洗い流した後の水さえも透明できれい、植物から抽出した成分を利用していて、鼻につくにおいもなく安全!という内容を強調する。

 

 思わず、いったいどういうマジックかと、見入ってしまった。

 仮に利尻昆布のシャンプーのようなものであれば、あんなふうにすぐに黒くはならないだろうし、そもそも植物由来の染髪料で10分足らずで髪を染めるものがあるとしたら、大発見ではなかろうか。

 

 そこで公式サイトをひらいてみると、まず、従来の製品は流れ落ちた染料で顔や服が黒く染まるうえ、有害物質が含まれていて健康面でも不安であった、ということが書かれている。

 

 それに対しこの商品が、いかに従来の問題点をクリアし、画期的かということが書かれている。しかも1箱198元(1元=約16円)となかなか高額だ。

 

 だが、成分表には化学薬品系の単語がならび、使用方法には「A剤とB剤を混ぜて使う」とある。つまり、これはいわゆる「泡カラー」を、新技術のごとく宣伝したものではなかろうかと推測された。

 

 中国ではいまや各分野で世界をリードする技術力をめきめきとのばす一方で、こと、生活用品においては局部的技術後進国なところがある。

 そうした分野ではしばしば、パクリ的「新技術」が登場する。このシャンプーもそんなものの一つかもしれない。

 

 ただ興味深いのは、CMに年配の男性が起用されていたことだ。それも、北京の胡同で、夏場、シャツをたくしあげてお腹を出していそうな一般庶民のおじさんである。(商品ターゲットはおじさん限定、というわけではなさそうだが)

 

 実は、以前から中国では、日本よりも男性の黒髪信仰が顕著ではないかという話を聞くことがあった。特に、中国の権力者にいたっては、ヨボヨボになっても不自然なほど黒髪ばっちりであったりする。

 

 また、ネットメディアには、高齢者の毎日の染髪は健康被害を引き起こすと警鐘をならす記事が転載されている。そこでは、染髪は年に2回程度にとどめ、できるだけ自然由来のものを使用し、可能ならきちんとした美容室で染髪することと注意を喚起する。

 ということは、権力者に限らず、毎日、髪を染めているおじさん方がいるということではなかろうか。

 

 ちなみに、薄毛ケアについてももちろんニーズはあるようで、確か10年ほど前には、ジャッキー・チェンをCMに起用した育毛シャンプー「覇王」が大ヒットした。

 しかしその後、この「覇王」に発がん性物質が含まれると報じられてからは、昔ほどはふるわなくなったように思う。(もっともそれは、「覇王」の社長の薄毛が、むしろ進行しているようだと、ネットで噂されているからかもしれないが)

 

 いずれにしても、中国では、日本のように視聴者が「髪をふやさなくては!」と思うほど大量の薄毛ケアCMが放映されているのをみたことがない。

 そもそも、年配男性の頭髪美容をターゲットにしたCMというものが、日本以上に少ない。

 そんななかで、かの「高級」シャンプーがCMになるほど、おじさんの黒髪事情に市場があることに、ある種の感慨を覚えるのである。

 

「伊白氏」http://ybsgw.cn/

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吸猫(シーマオ)、猫奴(マオヌー)、そして雲養猫(ユンヤンマオ)にみる中国お猫様ブーム

 最近、中国で「雲養猫(ユンヤンマオ)」が流行っている、という話を20代の中国人から聞いた。

 「雲=クラウド」つまりにゃんこ育成アプリで飼う猫のことで、いわゆるバーチャルキャットというところだろうか。「ねこあつめ」も中国で人気のアプリの一つ。

 

 (→コメントでご指摘いただきまして訂正です&ご指摘に非常感謝!:雲養猫=ウェブサイトやSNS、アプリなどで、猫の写真や動画を眺めて、猫を飼いたいという気持ちを慰める行為by百度百科の私的日本語訳)

 

 猫を飼いたいけれど、実際に飼うのは大変だしお金もかかる、という若い世代の間で流行っているそうだ。

 

 振り返れば、中国は5〜6年くらい前から猫ブームがきていたのではないかと思う。

 当時は、ちょうど、都市部の退職した年配夫婦の間で、犬を飼うことが空前のブームになっているところだった。

 

 ただ、そんな中で、日本の「かご猫」の中国語サイトができたり、エキゾチックショートヘアの「小胖Snoopy」など猫飼いウェイボーがブレイクしたり、北京のビジネス区のペットショップにブランド猫が並ぶようになったりして、都市部で働く若い世代の間で、猫が流行り始めている気配があった。

 

 うちの猫がお世話になっていた北京の動物病院は、そのころ、胡同(フートン)の路地裏にある小さな病院にすぎなかったが、猫飼いの間ではわりと有名で、ワクチンに行くと、いつも病気の猫であふれかえっていた。

 道端や劣悪なペットショップで売られる子ネコは、たいてい病気持ちで買ってから一週間ほどで死ぬため、「一週間猫」と言われていた。

 その後、その病院は猫専門医院として規模を拡大し、北京だけでも6か所にまで増えた。

 

 また、ネットでは、「吸猫」「猫奴」といった流行語が誕生した。

 「吸猫」というのは、猫のモフモフに顔をうずめてその臭いを堪能すること。「猫奴」はお猫様の奴隷になること。

 「猫飼いあるある」に、国境は関係ないようである。

 

 そして「猫咪表情包」(猫のいろいろな表情に言葉をつけた猫顔スタンプ)や「猫片」(猫ビデオ)がブームとなり、次に来たのが「雲養猫」である。

 でも、ブームはここで終わらない。雲養猫は次の商機にもなっているという。

 海外の話だが、仮想通貨のイーサリアムで猫を「飼育」するというクリプトキティズでは、絵画に投機するように仮想猫のキャラクターに投機されており、とある仮想猫は3回飼い主が変わる間に、取引当時のレートで1000万円を超える価格がついたという。 

 

 「雲養猫」がどれほど金になるかは未知数だが、中国の若者が、猫的癒しを求めるほどにお疲れである、というところに、まだまだビジネスチャンスはありそうだ。

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北京の銀行でパスポート番号を変更する

 6月に北京に行ったとき、私には重大な案件があった。

 それは、10年パスポートの期限切れにともない、北京の銀行に登録している旧パスポートの番号を新パスポートの番号に変更する、ということである。

 

 たかがそれだけ、といえばそうなのだが、実は10年前、やはりパスポートの切り替えで番号の変更した際は、本当に大変だった。

 

 というのも、当時、私の通帳名義は「田中奈美」と漢字で登録されていたのだが、本来はローマ字で登録する必要があったことが、パスポートを切り替える段階になって発覚。 

 「田中奈美」のままでは登録しているパスポートの番号を切り替えられず、現状の口座を一度閉じて、新たにつくりなおさなければならないということだった。

 が、そうすると引き落とし口座や、オンラインの支払い用に登録している口座などを全部変更する必要があり、そうとうすったもんだした。

 

 結局、窓口責任者のおばさんが出てきて、あれこれと知恵をひねり出してうまくやってくれた。

 

 さて、あれから10年。今回、口座名義はローマ字に変更済みだが、そもそも、中国の銀行は基本的に国民総ナンバーの身分証番号で口座管理していて、番号を変更するという手続きはあまり一般的ではない。そして一般的ではない手続きにはトラブルがつきものである。

 

 事前に国際電話をして、とにかく銀行カードと新旧のパスポートをもって最寄りの窓口に行けばOKということを確認し、万全の構えで北京の銀行に赴いた。

 ところが、である。

 窓口で、端末の操作をしていた係員のお姉さんの手がとまった。

 そして、私の銀行カードには紐づけされた定期預金の口座があり、その通帳をもってこないと、パスポート番号の変更ができないとのたまう。

 

 定期預金はとっくのむかしに解約したはずだが、どうやら当時の窓口係が預金をただ空にしただけで、解約処理をしていなかったらしい。

 

 口座はカラのはずだから、その場で解約すれば、と思ったものの、通帳がないと、まず通帳の紛失処理をして、それから解約手続きをすることになるので1週間以上かかるとのこと。

 滞在日数は4日しかないので、そんなに待てない。

 

 ということで再びすったもんだしていると、窓口の責任者らしい年配女性が「どうかしましたか?」とやってきた。

 チャキチャキの北京のおばさんで、今回も頼りになりそうな人物である。

 彼女に事情を話すと、やはりまず「新しい口座をつくりなおしたら」と提案があった。

 

 しかし今回の問題は、これがWECHATペイに紐づけしている口座だ、ということである。

 現在、一つの銀行で個人が開ける普通口座は一つときまっている。なので、WECHATペイでは、同一銀行の同一名義で同一タイプの別口座番号に切り替える、ということはできないはずである。

 そしてWECHATペイが使えないと日常生活に支障をきたす。

 

 では、銀行側でWECHATペイに登録した口座を変更できるのかときけば、「できません」。

 自分でWECHATペイに電話をして事情を説明せよというのだが、それで話が通るとは到底思えない。

 

 途方に暮れていると、責任者の女性いわく、「大丈夫! 中国は同姓同名が多いから、同姓同名のいとこの口座に切り替えるといえばいいわ! パスポート番号も違うからそれで通るはず!」

 それはなかなかの妙案だが、石橋叩いて渡るタイプの日本人メンタル的には「もしそれでうまくいかなかったら?」という心配がむくむくとわいてくる。

 

 「それより今、この場で、、ちゃちゃっとパスポート番号変更してもらえると助かるんですが」と返した私に、「あなた、中国語は通じるのに、なんで話が通じないの?!」と、キレる責任者の女性。

 

 結局、ごねたところで、帰国後、定期の通帳を探して出直すか、通帳の紛失届を出して次回手続きをするか、新しく口座を作り直すの三択しかないという事実はかわりそうにない。

 実は、おぼろげながら、北京で使った通帳は捨てずに保管していた記憶があった。保管場所ををあされば出てくる気がする。

 

 「帰国してから通帳探してみます」

 責任者の女性にそうつげると、「それがいいわ!」と、笑顔になった彼女。

 「WECHATペイの口座変更はやっぱり面倒だから」。

 さっきのいとこの口座案は何だったのか。

 

 ということで、振出しにもどった変更手続き。

 後日、帰国してから定期の通帳を探したところ、幸い見つけることができた。もっともこれで、次回は手続きができるのか、いまから兢々としている。

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変貌する北京のビール文化

 ここ最近、北京にいくたびに、ローカルスーパーのビールコーナーが、日本のコンビニ並みに賑わっていることに目をみはる。

 一昔前は燕京ビール、北京ビールの地元ビールに、青島ビールなど国産ビールがちらほらという程度。しかも、地元ビールは1瓶3元(1元=約16円)という格安ぶりだった。

 数年前には、外資系スーパーなどでコロナやバドワイザーのような海外ビールが並びはじめていたが、それもあまりたくさんの種類はなかった。

 

 それがいまや超ローカルのスーパーにも、10元を超えるドイツ系ベルギー系のビールが並ぶようになり、安くてなんぼだった国内メーカーまで高級路線のビールをつくるようになっている。

 

 実は、経済成長の鈍化で格安ビール市場が行き詰り、各社高級路線を打ち出しはじめているという。北京商報の報道によれば、2017年度の輸入ビールは70万キロリットルで前年比10%増。2017年度の輸入ワインが78.7万キロリットルなので、いつの間にか輸入ワインに迫る勢いである。

 しかし、高級市場の奪い合いで競争が激化。地域ごとのマーケティングに基づいた戦略が要になっていくだろうという話だった。

 

 思い返せば、北京のビールは庶民文化の象徴みたいなものだった。

 夏場、シャツをたくしあげ太鼓腹をむき出しにしたおっさんたちが、路上に広げられたテーブルをとりかこみ、ワイワイガヤガヤとビールをラッパのみしていた。

 その風景はいまも健在ではあるけれど、ビールはもはや安いだけのものではなくなった。

 

 北京ではビールにかぎらず、庶民文化が、中間層文化にとってかわり、どんどん希薄になっていくようだ。それだけ生活が向上したということかもしれないが、高いもの=よいもの、安いもの=質の悪いものというイメージが強烈で、それが生み出す中間層文化は、安くて心地よいものまで排除する。

 いつか地元の格安ビールがホッピーみたいに復活し、豊かな庶民文化として見直されることはあるだろうか。ローカルスーパーの高級化するビールに一抹の寂しさを覚えるのである。

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中国で、スマホ決済が爆発的に進んだことより驚嘆すること。

 先日、北京にいくと、もはやいたるところでスマホ決済が日常になっていた。

 ホテルでビールを購入し、手元にあった小銭の「分」(1元=10角=100分)をかき集めて支払いをしようとしたら、受付の不機嫌そうなお姉さんに「分は使うところがないから受け取れない、小銭がないならスマホでどうぞ」と言われるしまつ。

 

 スマホ決済に今一つ慣れず、小銭をちゃちゃっと出す方が早いのだが、レジはどこもスマホでの支払いがメインなので、おつりをもらうのに逆にモタモタしてしまう。

 支払方法は、スマホで店が提示するQRコードを読むときと、こちらがQRコードを提示してそれを店側が読んで決済するときがあり、たいていまごつく。

 

 そして私がまごついていることに、店員がまごつき、続いて「ナニコノヒト」的視線を送られる。どうやらおそらく私は、普通語が超絶へたくそなおのぼりさんに見られているのではないかと思う。

 

 吉野家中華版の和合谷という丼飯チェーン店でも、レジでスマホ決済をどうやるのかを聞いたら、店員に「は?」という顔をされた。

 幸い、隣で注文が出てくるのを待っていた小学生らしき男の子が、「ここをこうしてこうやるんだよ!」と教えてくれて事なきを得た。

 

 そんなこんなで何度か失敗を繰り返し、ようやく慣れてきたころ、地下鉄駅の自販機を使ってみる機会があった。

 私が北京で生活していた4年ほど前は、町に自販機はほぼ存在しなかった。なぜなら現金を盗られるからだ。

 

 それがいまではたいていの地下鉄駅に自販機が設置され、スマホで購入できるようになっている。おりしもその日はとても暑く、ノドはからから。通り沿いには売店がなく、ようやく見つけた自販機だった。

 

 でもやはり、はじめてのときは使い方がわからない。ひとまず、隣で買っているお姉さんを見て、慎重にイメージトレーニングをする。

 そしていざ、購入。スマホに決済完了の文字が出て、あとは自販機から商品が出てくるのを待つだけ。のはずが、数分待っても出てこない。

 

 乾ききった喉にヒリヒリとした痛みをおぼえながら、しばし呆然と立ち尽くす。それから購入方法の説明書きのところに「商品が出てこないときの問い合わせ番号」を発見した。

 電話口に出たサポートセンターのお兄さんは慣れた調子で、支払いが完了していること、商品が出ていないことをオンラインで確認すると、WECHATの公式サイトから返金請求する方法を教えてくれた。

 

 返金システムがきちんとあることに感動しつつ、返金請求するも、今度は画面が「請求処理中」で止まったままとなる。再度電話をすると、返金には2営業日ほどかかるという話である。

 しかしこれまでの中国経験で、支払ったお金が戻ってくることはほとんどなかった。今回もまた、なんやかんやで戻ってこないのではないか。そう思うと、別の自販機で、再度、購入する気になれず、結局、その日は約束していた中国人宅につくまで、渇きを耐え忍んだ。

 

 そして後日。WECHATが鳴ったので見ると、「返金が完了しました」の文字。確かに支払った分のお金が戻ってきていた。

 冷静に考えれば、そもそも商品が出てこないというのはどうか、と思うのだが、それ以上に、出てこなかった商品の返金をオンラインで完了するシステムが確立されていて、後日、本当に返金されるという現実に、改めてデジタル化する中国社会を体感した気がした。

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ジャック・マーとカンフーの世界

  先日、アリババのジャック・マー(馬雲)会長が早稲田大学の特別対談に来ていて話題になっていた。

 ジャック・マーといえば、世界が注目する中国の大企業家だが、そのマーが80年代から太極拳を習っていて、2009年には河南省温県陳家溝に伝わる陳式太極拳第十九代伝承者の王西安老師に師事し、カンフースターのジェット・リーらとともに太極拳文化を広める「太極禅」(カルチャースクールというかサロンというか)を運営、昨年11月に自身が主演のカンフーショートフィルム「功守道」を、太極拳文化PRの一環としてネット配信した、ということは、日本ではそれほど話題になっていなかったかもしれない。

 

 しかしこの「功守道」、中国での前評判はなかなか盛り上がっていた。

 なにしろ、総監督をジェット・リー、武術指導を「マトリックス」でアクション指導していたユエン・ウーピンや、懐かしのデブゴンことサモハンキンポーらがつとめ、出演者にはカンフーアクション映画には欠かせないドニー・イェンに呉京、タイのムエタイ俳優トニー・ジャーのほか、朝青龍や北京五輪ライトフライ級金メダリストの鄒市明まで登場し、しかもその中でジャック・マーが主役をはるというのである。

 

 何かの冗談かと半信半疑ながらもちょっと楽しみだったのは、マーが以前から、彼のビジネス哲学の背景には太極拳の思想があると語っていたからだ。

 「陰陽の考え方、いつ収めていつ放ち、いつ化(変化)し、いつ聚する(集める)かは企業管理と全く同じである」「太極拳の自ら攻めず、ごくわずかな力で大きなものを動かすという考え方は、ビジネスの理念にヒントをもたらす」などのマーの言葉が、メディアで伝えられていた。

 

 これは太極拳にかぎらず、中国武術全般にいえる思想だと思う。

 中国武術というと、派手なアクションをイメージするかもしれないが、本来の伝統武術は、中国古来の万物に対する深い哲学思想が根底にある。

 

 そして今、その伝統武術は風前の灯火状態だ。アクションやスポーツ競技、健康体操としてのカンフーではなく、本来の中国武術の思想や技術を深いレベル伝えられる老師は限られる。

 また、習得には時間がかかるし、本当に使えるようになるにはかなり難しい。加えて受け継ぐ側の若い世代が、伝統武術だけで食べていくのは非常に厳しく、現代風にアレンジしたり、一般受けするようなものにかえていかざるをえない。

 

 中国武術協会には中国武術を五輪種目に入れるという悲願がある。確かに五輪種目になればすそ野は広がるし、資金的にもメリットは大きいだろう。しかし、中国武術の醍醐味は、中華料理さながら各地各様、さらには各老師それぞれの味わいがあり、けして規範化されないところであったりもする。

 

 文化面では、流派によって無形文化財に指定されているものもあるのだが、その先生方いわく「あんなものは単なる称号、俺が死んだら消えてなくなるから無形というんだ」というくらいで、積極的な意義ある保護と伝承活動が行われている、という話は聞かない。

 

 そんななかにあって、ジャック・マーほど成功した企業家で、おそらく伝統武術にもよく触れていて、あれだけ頭のよい人が、陳式太極拳にかぎるとはいえ、伝統武術をPRするフィルムをかの錚々たるメンバーで制作したら、何かきっと面白いものができるのではないか、と思っていた。

 

 その結果、公開されたフィルムは、マーが陳式太極拳の華麗な身のこなしで、各スターたちを倒しまくったあげく、ラストはまさかの妄想オチという、なんともコメントのしようがない内容だった。

 

 随所に意味ありげな隠喩的シーンが挿入されているものの、よく意味がわからない。

 ガイジンだからわからないのかと思ったところ、中国メディアには「すみません、理解できたのは、エンドロールの出演者リストだけでした」というタイトルのコラムが掲載されたりして、ネット評価もふるわないようだった。

 これなら、ウォン・カーウァイ監督が「グランド・マスター」のメイキングで、中国各地の武術家を取材してまわったときのショートフィルムのほうがよほど味わい深かった。

 

 ということで、見なかったことにしてしまっていたのだが、先日、北京テレビを見ていたときのこと。

 大型京劇文化伝承番組「伝承中国」なるものが放映されていた。

 

 内容は、京劇界のスターをメインキャストに、女優や漫才など違う業界の若手スターが京劇を短期間で学び、最後に京劇界のお歴々の前で披露するというもので、日本でいえば、歌舞伎を市川海老蔵や尾上松也、松本幸四郎などが実力女優やタレントや芸人に教える、みたいな番組といえるだろうか。

 

 思えば、少し前まで、中国の伝統芸能がこんな風にバラエティ的にとりあげられることはなかった。そういう意味ではとても画期的だし、社会が伝統の継承的なことに関心をよせはじめているということなのかもしれない。

 

 ただその一方で、「伝承」の見せ方が、なんというか、バブリーで軽いのだ。

 学ぶ過程はあくまでバラエティだし、セットは大掛かりで豪華、スターたちは当然ながら、服も化粧もお金がかかってそうでみんなキラキラしている。

 

 結局、今どきの中国では、伝統にも、キラキラしさが求められるのだと思う。

 そうして目をひかなければ何も始まらないようなところがある。

 地道に黙々と続けていたら誰かが評価してくれる、なんてことは基本的にない。

 

 でも、とも思う。

 そのキラキラしい世界に、果たして未来はあるのだろうか。

 

 もしもいつか、ジャック・マーが太極拳をカンフースターたちのきらきらしさで飾り立てるのではなく、伝統の奥底にそっとスポットをあてるような映画をつくることがあったとしたら、現代社会における伝統武術の有り様も少し変わるのかもしれない。

 

「功守道」優酷(Youku)の独占配信で、2018年4月30日現在、再生回数1.9億回!

 

※以下、御案内です。

 今年2月に、私が日本でお世話になった武術家(で料理人)だった佐藤聖二先生の遺稿集が出版されました。

『佐藤聖二遺稿集 太気拳・意拳研究ノート』

 

 佐藤先生は、民国時代に意拳を創始した異才の武術家、王向斎に日本人として唯一師事した澤井健一先生(太気拳の創始者)の弟子で、80年代に単身、北京にわたり、澤井健一先生の兄弟子である姚宗勲先生に師事しました。

 本書は佐藤先生が53歳で亡くなられるまでの約5年半の研究ブログと北京時代のエピソードなどを記した原稿を収録したものです。

 先生の研究は太気拳・意拳にとどまらず、また多くの武術家の先生方と交流してこられました。

 私自身は本当にほんの少しの間、お世話になっただけなので、ご紹介できるような立場ではないのですが、それでも、佐藤先生の熱心な研究に触れたことで、中国武術がこれほど多様に満ち、奥深く、面白いものであるということを知ることができました。

 本書は、武術をやっていないと少々とっつきにくいかもしれませんが、先生の研究を通じて、中国の伝統武術の味わい深さに触れていただくことができればと思い、ここにご紹介いたしました。 

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「東京ばななクリスピー」とコピー商品考

 先日、北京で、中国の大手ベーカリー&スイーツチェーン「好利来(Holiland)」に入ると、目に入ったのは、「はんじゅくちーず」と日本語で書かれた大きなポスターだった。

 「はんじゅくちーずタルト」というポスターもあり、どうやらこれらがいまの一押し商品のようである。

 

 さらに店内のスイーツコーナーには、日本でもなじみのレーズンバター、なにやらひよこ饅頭を彷彿とさせる「ひよこ」という名前の白餡菓子、さらには東京ばな奈ワールドの「東京ばな奈パイ」のそっくりさんでその名も日本語で「東京ばななクリスピー」なる商品が並んでいる。

 以前、日本の技術を取り入れているという話を聞いたような気がするが、それにしても、数年前まではこんなに「日本化」はしていなかった。

 

 好利来といえば、もともとおしゃれさと高級さとおいしさで急成長した企業で、北京の他のベーカリー&スイーツ店とは一線を画していた。

 創業者の羅紅氏は写真家としても知られた人物で、90年代初めに蘭州でケーキ屋さんをオープンしたところ、当時珍しかったおしゃれケーキが大ヒットして、好利来を創業したというエピソードが伝えられている。

 

 好利来発の超高級芸術的ケーキ「ブラックスワン」は、羅紅氏が黒鳥の写真をとっていたときに、これをケーキにしたいと思いつき、フランス人シェフを招いて苦労の末に開発したという逸話のある看板商品で、15僂離曄璽襪なんと1299元(約2万円)もする。

 

 そんな好利来で、なんちゃって日本風商品が並んでいるのである。

 しかも、そのクオリティが高い。

 一昔前の日本のぱくり商品といえば、安かろう悪かろうで、パッケージの日本語も意味をなしていなかった。

 

 ところが、例えば「東京ばななクリスピー」のパッケージには、「会いたい気持ちを、ふんわり空気のように、一口美味しく」などと、違和感のない日本語が書かれている。

 一つ買って食べてみると、さくさくチーズ味でなかなかおいしかった。

 

 一瞬、「東京ばな奈」とタイアップしたのかと思ったが、実はパッケージの内側には、チーズ菓子で有名なつくばの洋菓子職人、中山満男という人物が顔写真入りで紹介されていて、この中山シェフと好利来の職人が「職人の技が光るお菓子を作り続けています」と、これまた流暢な日本語で書かれていた。

 

 調べてみたところ、中山氏はつくばのコート・ダジュールという洋菓子店のオーナーシェフで、「はんじゅくちーず」「はんじゅくちーずタルト」はここの看板商品だった。

 好利来のサイトには経緯が紹介されていて、それによれば、2014年、好利来の創業者の息子二人が、「はんじゅくちーず」に感激し、つくばの中山氏を訪ねたという。

 

 最初は相手にされなかったものの、3度目の訪日で、上述の超高級ケーキ「ブラックスワン」などの写真をもっていったところ、「このレベルのものはフランスでしかみたことない」と感激していただき、「はんじゅくちーず」の製造販売権を得た、とある。

 そこで、コート・ダジュールに電話をして確認をしたところ、確かに数年前から北京の好利来で指導をしているそうだ。

 

 ということで、コート・ダジュールから権利を受けたチーズ菓子のほかに、ひよこ饅頭や東京ばな奈パイもどきのほか、六花亭のストロベリーチョコホワイト風商品など、どこかで見覚えのあるものが、「wagashi」というラインナップに並ぶ、という日本人的にはなんとも奇妙な光景なのである。

 

 それで思い出した話がある。

 テレビ東京の「未来世紀ジパング」で、アシックスを猛追するスポーツ用品メーカーとして取り上げられていた「安踏(ANTA)」のことだ。

 

 「安踏」は、15年くらい前、当時、雨後の筍のごとく出現したなんちゃってナイキロゴのローカルブランドの一つで、安く手に入るナイキもどきのシューズが、庶民にはけっこう人気だった。

 

 それが2009年にFILAの中国での商標権取得、2014年にはNBAとパートナーシップ契約を提携、NBA代表選手のクレイ・トンプソンと契約、さらに韓国のアウトドアウェア大手kolonなどの買収と躍進を続け、今や中国を代表するスポーツシューズブランドの一つとなった。

 

 ぶっちゃけ、一般庶民の間では、アシックスよりよほど知名度が高いのではないかと思う。

 2017年の一大消費デー「11・11」では、オンラインインショッピングで7億元近い売り上げを記録し、タオバオのBtoC(企業消費者間取引)サイト「天猫(テンマオ、Tmall)」でトップ3に入ったそうだ。

 

 それでも今なお、ナイキのAir VaporMaxっぽいシューズを売り出すなど、どこかなんちゃって感がぬぐえない。

 とはいえ、オリジナリティもあり、何より海外の技術を取り込んで、品質もデザインも各段に向上した。

 加えてそれを比較的安い値段で買える(といっても、以前にくらべると、庶民的にはちょこっと背伸びをするくらいの価格にはなったが)というところが、人気の秘訣であるようだ。

 

 この点、好利来はもう少し高級路線だが、やはり、安踏と同じような構図があると思う。

 すなわち、資金を投じて海外の技術を取り込み、その上でパクっている、ということだ。

 パクっているのは、中国ではそのほうがまだまだ売れるからだろう。

 

 思えば、中国の家電やスマホメーカーも、パクりの中からめきめきと実力をつけ、機能と価格の面からもはや単なるパクリの次元を超えた。

 そして日本では「恥ずかしい」コピー商品は、この国では逆に、コピーできるということが価値なのだと思う。

 

※写真は「好利来」サイトより。

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北京的迷子犬の行方

 少し前、北京で飼っていた犬を逃がしてしまった、という人からこんな話を聞いた。

 

 中国では、犬の散歩でリードをする人はあまりいない。

 そのときも、近所の公園をリードなしで好きに歩かせていたそうだ。

 が、ふとした拍子に見失ってしまった。名前を呼んでも姿を見せない。

 

 困ったご両親はさんざんあたりをさがしたものの、結局、その日は犬を見つけることができなかったそうだ。

 実はその犬は娘さんがとてもかわいがっていたのだそうで、犬がいなくなったことを知った娘さんは、大変なショックを受けた。

 

 では、どうやってさがすか。 

 ネットでいなくなった犬の探し方を「百度」すると、(1)張り紙をはる。賞金もかける(←ここ重要)(2)QQや微信などあらゆる手段をつかって探す。賞金額も明記する(←ここ重要)(3)いなくなった付近の監視カメラをチェックさせてもらう(←中国の路上にはあちこちにカメラがある)(4)動物病院にケガをして運び込まれた犬がいないかたずねる(5)犬のペット市場を探す(←ブランド犬は売れるので、高そうな犬がフラフラと歩いていると、捕まえて、転売されるそうだ)などと書かれている。

 他にも、犬肉レストランを探すなどというブラックジョークなのかどうかよくわからないものあったりする。

 

 そのときは、娘さんが近所に聞いてまわり、ちょうど散歩させている時間に保健所の野良犬狩りがあったことがわかった。

 となると、公園にいた犬たちは北京郊外の収容所に運ばれた可能性が高い。

 が、どこの収容所につれていかれたかわからない。

 

 2005年に施行された北京市収容動物管理弁法によれば、15日をすぎて引き取り手のなかった動物は、動物防疫監督机構の責任によって処理、つまり殺処分をされる、とある。

 

 ご両親はもうあきらめたらと言ったものの、娘さんは絶対に探すと、それはもう必死で役所に電話をしてたずねてまわったそうだ。

 それで、そのとき捕獲された犬が入っているであろう収容所をつきとめた。

 

 郊外にあるその施設まで足を運ぶと、何百匹という犬が檻の中でひしめきあっていたという。 

 何度も檻の前をいったりきたりして探すのだが、どこも犬づくしで、とても自分の犬をみつけることができない。

 

 施設内を2周して、同行していたご両親がもう帰ろうと促すと、娘さんは泣きながら犬の名前を叫んだ。

 すると、群れの中から、一匹、ぴょんっと飛び上がった犬がいた。

 それが、まさに、いなくなった犬だったそうだ。

 こうして奇跡的に取り戻すことができた。

 

 という、実に感動的な話なのだが、冷静に考えると、北京ではあれだけペットブームで犬があふれまくっているのに、街中で迷子の犬や捨てられた犬をあまりみかけないということは、つまりそれだけ「清掃」されている、ということのようである。

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IT先進国中国の、あまり先進的ではない話

 近年、中国のIT進化ぶりは華々しい。日常生活はもはやスマホとはきりはなせず、逆にスマホ一台あれば出前もタクシーを捕まえるのもしごく簡単便利。

 路上ではシェアサイクルにスマホをピッとかざすだけで利用でき、レストランでは店員を呼ばずとも備え付けのタブレットで注文から支払いまでできてしまう。そして、新しいITサービスの話題も事欠かない。

 

 中国はますます巨大なIT国家になっていくようだ。

 と、思っていたのだが、先日、海南航空のサイトで東京‐北京のチケットを予約したときのこと。(東京‐北京の往復が2万円ちょっとという超格安チケットである)

 

 予約した後で予定を1週間ずらすことになり、チケットの日程を変更しようとするも、海南航空のサイト上には変更メニューが見当たらない。

 もともと、海南航空のサイトはオンラインチェックインのメニューがあっても使えないなど、いろいろ不都合が多い。

 

 ただ、サイトのオンライン問い合わせサービスは極めて迅速で、チャットをたちあげたとたんに、「どうしましたか?」と話しかけられる。

 そこで「日程の変更をしたい」と問えば、即答で「国際路線のチケットの変更は中国国内の問い合わせ電話に電話してください。番号は××です」。

 

 仕方ないので、国際電話すると、対応はやはり迅速かつ丁寧で、変更手数料は日本円で5000円、人民元で200元ちょっと、米ドルでは46ドルかかるという。

 それは予約の際に了承済み、問題ないと答えると、変更手続きはさくさくと進み、かつ、間違いがないように、しつこいくらい確認をしてくれる。

 

 ところで手数料の支払いはどうするのだろうと思っていたら、中国元での支払いなら、中国国内で発行したクレジットカードかデビットカード、海外のクレジットカードの場合はドル払いになるという話である。

 

 WeChatペイは?と問うと「ありません」。日本円での支払いは?と問えば、それも「ありません」。

 ではなぜ、予約の際の注意書きに日本円が書いてあったのか、という疑問はさておき、 日本のクレカでのドル払いを選択。

 それでどうするのかと思いきや、口頭でカード番号を読み上げるというなんともアナログな支払方法だった。

 

 そして、最後にもう一度、変更後の日付を確認し、「手続きが完了したら、電子チケットがメールに送られるので、もし、明日になっても届いていなかったら、もう一度電話してください」と、これまた丁寧な説明があった。

 

 手続きはアナログだけれど、サービスの向上ぶりはすばらしい。

 思わず、じんわり感激した翌日、案の定、というべきか、電子チケットが届かない。

 

 そこでもう一度、国際電話をすると、海外のクレジットカードでの支払いの場合、手続きが少し遅くなるとのこと。

 「もう少し待ってみてください」と言われるも、これまでの経験から、「もう少し」が「もう少し」であったためしはあまりなく、「待って」と言われて素直に待っていたら、手続きが抜けていたとか完了していなかったとかで、実は進んでいなかった、ということも少なからずあった。

 

 今回もそういう話ではないのかと、疑念がむくむくとわき、「もう少しというのは数時間か数日か」と電話口のお兄さんを問い詰める。

 

 数年前なら「それは知らない」と言われそうなところだが、お兄さんは「それなら、夜18時まで待って、それでも届かなかったら、また連絡ください」と、なかなかの好対応。

 そして、結局、その日の午後、電子チケットはPCメールとスマホのショートメールの両方に送られてきた。

 

 中国はソフト面でもハード面でも、10年前には思いもよらなかったような大きな変化の中にあることを改めて思う。

 

 ただ、話はこれで終わらなかった。

 後日、海南航空のサイトで座席指定をしようとしたら、チケットがヒットしないのである。

 再度、オンラインで問い合わせたところ、チケットはちゃんと登録されているという。そして、名前は「姓/名」で入力して、もう一度試してみろという指示。

 

 言われた通り「TANAKA/NAMI」と入力したもののやはりヒットしない。

 そこで最後にダメ元で「TANAKA/NAMI MS」と敬称付きで入れてみたらヒットした。

 システムの問題か入力ミスか、本来「TANAKA/NAMI」と登録されるべき名前が、「TANAKA/NAMI MS」と登録されてしまったのだろう。

 中国は確実に変わりつつある。でも、「昔ながら」の中国も、まだまだ健在のようである。

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