中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
ニッポン10年の変化
 中国はこの10年で、街も人も劇的に変化をした。
 それに比べ、日本はあまりかわらないと、この10年思っていた。
 しかしこのたび長期的に北京を離れ、改めて日本もこの10年で変わったのだと感じる。
 
 テレビをつけると、10年前ほとんど話題になった記憶のない遺品整理ビジネスが番組で取り上げられ、墓ツアーなるものが紹介されている。
 少し前は介護の話題が目についた気がする。それは今でもあると思うのだが、すでに定番化し、さらにその先まで来てしまったようだ。
 
 友人にその話をすると、最近のビジネスマーケットは人生の果ての部分に行きついた感があるという話になった。
 
 もう1つ、日本の××が外国人に評価されているといった番組もちらほら見かけるようになったように思う。
 あるいは10年前も同じくらいちらほらあって、ただ意識していなかっただけかもしれない。だが、久しぶりにそういう番組を見ると、なんだか中国中央テレビ(CCTV)の「幸せですか」コーナーを思い出す。
 
 これはCCTVのキャスターが定番ニュース番組で、農民から町の人まで、あちこちで「幸せ(シンフー)ですか?」と聞きまくり、「今の政府のおかげで幸せ(シンフー)です」的紋切り型の幸せ話を語らせ、自国を自画自賛するというコーナーだった。
 
 もっともこちらは「うん、僕の姓(シン)は福(フ―)です」と超ナイスなおちょくり回答を得たりして、それはそれで大変に盛り上がったのだが、日本のほうはいまひとつ盛り上がりにかける気がしなくもない。
 それでも「日本のここがすごい」番組が作られるほどに、日本人は自国を「すごくない」と思っているのだろうかと、思わずそこにも日本の「変化」のようなものを感じてしまう。
 
 余談ながら、日本のすごさというのは、むしろ「ごく普通にちゃんとしている」というところにあると、スーパーに行くたびに思う。
 なんということはないローカルなスーパーに、新鮮な野菜があふれ、農薬はそれなりに使われているだろうが、「このみずみずしさは果たして薬によるものだろうか」と考え込む必要はそれほどないし、やたら巨大なレタスを前に「促進剤が使われているのか」と思う必要もない。
 
 惣菜コーナーでは、この惣菜に何が入っているわからないと警戒する必要はなく、それどころかお手軽で普通においしい。
 手軽といえば、日本のレトルト製品の充実ぶりがまたすごい。
 電子レンジでチンをするだけとか、他の具在とちゃちゃっと混ぜて作ればよいだけの製品にあふれ、それもまた「病死した豚肉を使ってるんではないか」などと心配する必要もなく、「ブランド名がついているけれど、ブランドを語った偽物ではないか」と疑う必要もない。してなかなか本格的な料理が簡単につくれたりする。
 
 料理がそれほど得意でない私のようなものは、中国にいると延々と同じような料理を作り続けることになるのだが、日本ではさまざまなバリエーションの料理を簡単につくることができ、結果、毎日せっせと自炊している。
 結局のところ、日本のレトルト食品にいちいち感動してしまう自分のほうが、この10年で変わったのかもしれない。
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