中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
タクシー運転手の前職
 東京で、珍しく終電を逃し、同じくとっくに終電のなくなった3人でタクシーを乗り合いした。
 私が最後で、一人になると、運転手さんが話しかけていた。そこでなんとはなしに受け答えをしていたところ、なぜか身の上話になった。
 もともと歯科医師で開業をしたそうだ。しかし50歳をすぎて、老眼が進み、細かい作業が厳しくなって、病院をたたんだのだと言う。
 
 思い返せば、北京ではタクシーが安かったので、よく利用したし、運転手ともよく話をした。
 北京は、北京戸籍の人でなければタクシー運転手になれない。だから運転手は、ベタベタの下町風北京語を話す、ちょっと癖のある、けれどなかなかに味わい深いおっさんが多かった。
 
 だいたいが転職組で、もともと国営企業に勤めていたが、改革開放後の国営企業のレイオフ嵐で会社を辞めタクシードラバーになった人、北京郊外の農村の人で農地が強制収容されて、運転手になった人など実にさまざまだ。
 知り合いにもタクシー運転手をしている人がいるが、彼の場合は、もとは長距離トラックの運転手だった。仕事がきつくて、タクシー運転手に転向した。
 
 北京郊外の農村地域に家はあるが、市内からは1時間ほどかかる。毎日、夜勤明けで家まで帰るのが面倒になり、ひょんなことから、北京市内の国営ホテルの地下室で暮らすようになった。
 その後、離婚したのかしていないのか、窓のない地下の部屋で、やもめのような生活をしながら、毎日、仕事に出ている。
 
 日本と中国で、タクシー運転手の前職をリストにしたら、その国の社会の変容を垣間見ることができるかもしれない。
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