中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
子供が一人でいる光景で思うこと

 夕方、東京で地下鉄に乗っていたら。有名小学校らしい制服を着た10歳くらいの男の子が一人で、前の座席に座っていた。

 乗り慣れた感じなので、いつもの下校途中なのだろう。

 

 その帰り道、公園の前を通りかかると、やはり小学校高学年くらいの男の子たちが、親の付き添いなく、元気に走り回っているのを見かけた。

 

 日本ではどちらも日常の光景だと思うが、北京では見たことがない。

 なぜなら、子供の誘拐事件が多発しているからだ。

 

 先日、北京に行ったとき、10年来の友人からこんな話を聞いた。

 小学校にあがったばかりの娘を連れて歩いていたところ、娘がふざけてなかなか進まないので、少し前を歩いていたら、通りすがりのおばさんに腕をつかまれ、「子供をちゃんと見ておかないと、さらわれるわよ!!」と怒られたそうだ。

 

 中国では、さらった子供を、子のできない夫婦にアンダーグラウンドで売るという地下ビジネスが横行しているという話が、日本でも報じられている。

 ただ、中国人に聞くと、ある程度、大きくなった子供は騒ぐし、養子に出しにくいので、腕や足を折ったりして、障がい者とし、物乞いをさせるというのが、もっぱらの話だった。

 

 だから、中国の小学校は登校も下校も送り迎えが必須で、下校時間前の学校の前には迎えの大人の人だかりができている。仕事のある親のかわりに、退職した祖父母が来ていることも多い。

 

 担任は誰が迎えに来るのか把握していて、違う人が来た場合、子供を渡さないようにしていると、友人から聞いた。

 以前、北京で、親戚を名乗る大人に子供を引き渡したら、そのまま子供がどこかに連れ去られてしまったという事件もあったそうだ。

 

 これだけみなが警戒していても、誘拐事件はあとをたたない。別の友人の話では、知り合いの子供が、ちょっと目を放したすきに連れていかれたことがあったという。

 幸い、そのときはすぐに見つかり、連れ戻すことができたそうだが、他にも、身近なところで、そんな話を耳にする。

 

 最近、中国のSNSでは「迷子のための安全保護スポット」という書き込みが転載されまくっていた、と前述の友人は話す。

 

 内容は、「政府の要請で、銀行は迷子を保護する場所になっているので、親とはぐれてしまったら、銀行に行けばおうちに連絡してくれますよ!」というものだ。

 しかしその後、銀行の発表で、デマだということが明らかになった。

 

 でもこれは、誘拐問題に何も有効な対策をとっていない政府に対する、親の切実な願いだと友人。

 

 もっとも日本でも、幼い子供が連れ去られるという事件を耳にする。やはり、子供を一人で歩かせるのは危険ではないだろうかと、ためしに、「子供、連れ去り」をネット検索してみたところ、離婚したもと配偶者による連れ去りが多数ヒット、さらに「子供、連れ去り事件」で検索すると、わいせつ目的と思われる幼女の連れ去り事件の増加を報じるニュースが目についた。

 これはこれで、また、別の世相が垣間見えそうである。

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