中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
年賀状と新千歳空港中国人旅行客騒動で考えるマナー文化

 年賀状は苦行だ、と思う。

 中国にいる間、10年くらい年賀状を出していなかったので、すっかり忘れていたのだが、いまさらながら、年賀状には、日本のお作法文化が凝縮されている。

 

 住所や宛名の書き方、あいさつ文の書き方、目上の人宛てでやってはいけないこと、避けるべき言葉もろもろ。

 

 去年頃から年賀状を再開したものの、10年もブランクあると、すっかりできなくなっていて(というより、もともとちゃんとできてなかったかも)、何度もやりなおしているうちに、日が暮れてしまった。

 

 外国人が日本のマナー文化を体感したければ、一度、礼儀作法をきっちり守った年賀状を100枚くらい出してみたらいいと思う。

 

 マナーといえば、先日、大雪の新千歳空港で足止めをくらった中国人が騒ぎを起こしたという騒動があった。

 中国人のマナーの悪さが取りざたされるとき、いつも思うのは、一口にマナーの悪さといっても、事情はさまざまだろう、ということだ。

 

 海外においては、その国の常識との違いとコミュニケーションの齟齬。

 国内的には、一党独裁と拝金主義がもたらした、勝ちさえすればなんでもありな社会的風潮。

 あるいは人っ子世代特有の身勝手さや、都市と農村の価値観の大いなるギャップ。さらに、しばしば起こりうる、ルールなど守っていてはバカを見るような不合理な状況。

 

 確かに、びっくりするほど勝手な人は一定数いるし、「文明的」でない行為も少なくはない。でも、それで一番、嫌な思いをしているのは中国人自身だ。

 

 それに、ごく普通の一般庶民は、多くの場合、とても忍耐強い、と私は思う。もともと、日本のサービスレベルでは考えられないようなお国柄だ。それに対して、彼らはしばしば高い耐性を発揮する。

 

 例えば、病気を診てもらうにも、列車のチケットを買うのにも、ものすごい人込みの中を、ただただ何時間も待ち続ける。

 中にはずるをして割り込む人もいるし、一人がずるをすると、雪だるま式にどんどんずるをする人が出てきて収集がつかなくなる面はあるけれど、でも、やはり基本はジリジリと並んでいる。

 

 銀行でも、客が何十人も待っているという状況で、昼になると、1〜2つの窓口を残して、他は休憩に入ってしまうことがある。

 はじめて見たときは、えーーーなにこれ!と思ったが、中国人は慣れっこで、ブツブツいいながら待っている人もいれば、あきらめて帰って行く人もいる。

 

 主張を通すときも、いきなりギャーギャー言う人は、感覚的にはそれほど大多数というわけではない。たいていの場合は、けっこう、あの手この手で引いたり押したりして、うまいこと交渉している。

 

 ただ、上述したように、不合理で不条理なことはしばしば起こる。

 渋滞した北京の道路では、 ルールなど守っていては、いつまでたっても先に進めないような状況があり、良識的な人でも、アウト・オブ・ルールのドライバーと化す。

 

 航空会社は、ときどきお上のよくわからない事情でフライトをキャンセルする。そのうえ、晴天でも「天候」を理由にしするものだから、飛行機に乗れなかった人々がブチ切れ、それが重なると、本当に「天候」が理由で飛ばなくても、客は「またか」と猜疑の目を向ける。

 

 社会全般、うまくやったもの勝ちなムードの中、機転の利く人は、ちょっとしたことでも機を見て、さっと、利を得るし、その過程で、日常茶飯事的に、多少のマナー違反やルールの逸脱が起こる。

 逆にそれができないと、バカをみっぱなし、という緊張感や危機感もある。

 

 そう考えると、日本のように、ルールやマナーをしっかり守っても、とりたてて損をすることがなく、なおかつ礼儀作法が文化の領域に達している社会というのは、ある意味、「安定」と「ゆとり」のたまものかもしれない。

 

 と、思って、年に一度の年賀状修行に励むのだが、そつなくこなせるようになるころに、年賀状はすたれていたりして、と思わなくもない。

 

※今年一年も、拙ブログにご訪問いただき、ありがとうございました!

また来年も楽しんでいただければうれしいです。

よいお年をお迎えください!

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