中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
北京のレストランのローカル&ハイテクとお知らせ

 先月、北京で、成都市政府経営の四川料理店に行った。

 北京には各地方政府のオフィスがあり、そこに併設される形で地方政府経営のレストランがある。ローカル色高めだけれど、食材や調味料は産地直送で、安くておいしいと人気が高い。成都市政府レストランもその一つ。

 

 景山公園近くの胡同の一角にあり、もともと四合院式の中庭のある建物を改装したのではないかと思う。入口を入ると、ホールがあり、そこから渡り廊下のようなもので、部屋がつながっていて、その渡り廊下的なところにまで、椅子とテーブルが置かれ、客であふれかえっていた。

 

 サービスは、ウェイトレスを呼んでもちっとも来ないローカル式。ウェイターやウェイトレスが大声でわめきあっているのもなつかしい光景だ。(成都の言葉なので、なにをののしりあっているのかは不明だが、なにやら責任をなすりつきあっている模様)

 

 ああいいなあ、こういうの好きだなあと思って、呼んでも来ないウェイトレスを通りすがりで捕まえて、メニューをもらおうと思ったら、だまって指さしたのは、テーブルに置かれたiPad風タブレット。これにメニューが登録されていて、どうやら紙のメニューはない模様。

 

 おもえば、もう何年も前に、大人気火鍋屋「海底ラオ」がiPadメニューを導入し始めたあたりから、じわじわとタブレット注文が広がっていったように思うのだが、私が北京を離れる前はまだ、カラー印刷の大きなメニューが主流だった。

 

 いまでは、こんなローカル度高めのレストランでもタブレット注文が導入されているんだなあと、浦島太郎気分にひたりつつ、評判通り、大変、おいしい料理を堪能したあとは、渡り廊下のガラスケースに陳列された豆板醤などご当地品のお土産を物色。

 

 でも、買おうとしたら、ガラスケースには鍵がかかっていて、取り出せない。

 ウェイトレスを呼びに行く間、かなり昔、たぶん90年代以前のことだと思うのだが、国営デパートで、ガラスケースに入った商品を買おうとしたら、「その鍵を持っている店員は今日は帰った」と言われて買えなかったというエピソードを思い出した。

 

 さすがに今はそんなことはなく、鍵をもったウェイトレスが登場、あっさりショーケースを開けてくれた。

 ところが、買おうとした商品に値札がないものがあった。

 「これ、いくら?」とたずねたところ、「知らない」。さらに「値札のないもの売れない」。

 売れないと言われても、棚にはちゃんと商品として並んでいるのだが……。

 

 注文はタブレット式でハイテクになっても、こういうところは変わらない。

 そしてそのかわらなさにほっとする。

 

※成都(北京蜀都宾馆)

http://www.dianping.com/shop/513399

 

【お知らせ】

(中国とは関係ないですが)お手伝いした本が出版されました。

『怪魚を釣る』小塚拓哉著(インターナショナル新書)

「体長一メートル、もしくは体重一〇キログラムに成長する淡水域の巨大魚」すなわち「怪魚」を追い、世界四〇カ国以上で五〇種以上を釣り上げてきた著者がかたる「怪魚を釣る」とは。著者いわく、現代の「未知」は情報がないこと。

――「今の時代、お金と時間と情報があればなんでもできる。それは『道楽』です。でも制約があるとき、同じことが『冒険』になる。僕はクリエティビティ―で制約を乗り越え、予測不可能なカオスを楽しみたい」(日経新聞3月11日「あとがきのあとがき」著者インタビューより)

 

怪魚な旅のカオスをぜひ!

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