中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
画一さと私のパンツ(ズボン)

 私は普段、あまり服を買わない。中国から戻ってきて3年、北京で買った服をまだ着ていたのだが、さすがに周りの眼が気になるようになってきた。

 

 それで、先日、仕事で使う服を何着か買いに行った。ストレートかブーツカット(今どき風にいえばフレアラインか?)のパンツを買いたかったものの、困ったことに、おしなべて、スキニーっぽく、ぴったり系で裾がしぼられているものか、ガウチョのような幅広のものかしか見つからない。

 ずんぐりむっくりな私の体型では、どちらも少々ハードルが高い。

 

 私は服のことはよくわからないので、最初は探し方が悪いのかと思った。けれど、ブランドショップでもファストファッションの店でも、おしなべてスキニーまたはガウチョ、ということは、おそらく日本のファッション業界では、ストレートもブーツカットも「ダサいもの」として、ほとんど淘汰されてしまったのではないだろうか。

 

 これを流行に敏感というべきか、あるいは画一的というべきかはわからない。でも、日本にいると、どうも、自然に「足並みが揃う」みたいなところがあると感じる。

 

 たとえば、パクチーが流行ると、食品メーカー各社はパクチー味の商品を開発する。しかもだいたいどれもちゃんと開発されていて、大きくはずれるということはそれほどない。

 

 またテレビでは、各チャネルがほとんど同じタイミングでCMに切り替わる、あるいは同じ時期に番組が入れ替わる。

 制作サイドの事情があるのだろうが、それにしても、一つの連ドラが終わり、いろいろ特番が放映されて、また次の連ドラがはじまるというサイクルが、毎シーズン、粛々と繰り返されていくのを見ていると、少々不思議な気がする。

 

 思えば、中国は、いろいろなことが、てんでバラバラだ。

 国が大きすぎ、人が多すぎで、かつ貧富の差も大きいため、画一的になることなど到底無理かもしれない。あるいは、そもそも、足並みをそろえるという発想もないだろう。

 

 ファッションの流行り廃りはそれほど明確ではなく、お金を持っている人たちにとって、流行とは個性とステイタスを発揮するために取り入れるものであるようだ。

 

 ただ、儲けになる商売には、人が群がるので、例えば、以前、中国の伝統服、旗袍(チャイナドレス)を現代風にアレンジしたファッションが話題になったときには、旗袍風ブティックが雨後の筍のように出現した。

 

 もっともそれで、街中の女性たちがみな、旗袍アイテムを取り入れる、といったことはなく、店も微妙な方向でオリジナリティを発揮したものから、センスよくまとまったもの、あるいは粗悪なコピーものまで、実に千差万別だった。

 

 千差万別といえば、先日、北京に行ったときのこと。

 マクドナルドに入ると、店内に設置されたパネルで注文できるようになっていて、次々とやってくるカップルや家族連れが、スマホをピッとかざし、支払いを済ませていた。

 また、町にはスマホを活用したシェアバイクがすっかり定着し、スマホ決済はすでに社会インフラになっているようだった。

 

 でも、その一方で、下町の胡同を歩くと、出稼ぎ労働者たちが小さな店をつらねる一角がある。オンボロ食堂の前の道端には、椅子とテーブルが置かれ、日焼け顔の中年男性が山盛りの麺をすすっている。そして食べ終わると、ポケットからしわくちゃの10元札を出し、テーブルに置いていく。

 

 地下鉄に乗れば、大きな荷物をかかえてドア前をふさいでいる労働者と、高そうなブランド服の女性が同じ車両に乗り、その間を物乞いが「お願いします」と手を差し出しながら歩いていく。

 

 こういうところにいると、どんな服を着ていてもどんなかっこうをしていても、あまり目立つということがない。

 この多様さは、やはり中国の醍醐味だと思う。

 

 もっとも、それも一長一短で、千差万別すぎて、思いもよらないことが連発し、疲労困憊することも日常茶飯事だ。そういうときは、日本の画一さがもたらす安心と安定のありがたみを実感する。

 どちらがいいとか悪いとかではなく、ほとほどが一番と思うものの、そのほどほどがまた難しい。

 

 そしてくだんのパンツは結局、お店の人が勧めるままに、ガウチョとスキニーを購入。ついでに、お店の人が勧める「体型が目立たないようになる」ロングのカーディガン(コーディガンというやつかも)と、ふんわりしたブラウスもお買い上げ。

 

 見た目はそれなりに流行風かつ平均的な感じで、そのまま、丸の内のオフィスにも行けそうだ。ついでに仕事帰りは、ちょっとおしゃれなレストランで、女子会なんかもできてしまうかもしれない。

 

 おかげで、周りから浮いているかも?と思うことはなくなった。でも、それはそれで、どこかしっくりこなかったりもする。

 

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 渡部恒雄 (米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」非常勤研究員、「笹川平和財団」特任研究員)
「米国政治ウォッチャーが語る、トランプ政権のキーパーソンから見たアメリカの行方」の記事を担当しました。

 お話自体は少し前なのですが、トランプ政権を知る上で、非常に示唆に富んだお話しでした。米国政治はさっぱりの私でも、見るべきポイント、知るべき点の基本がとてもわかりやすかったです。
 今、話題の北朝鮮についても、よくわかります。

 トランプ政権ニュース、なんだかわかるようでわからないな、という方、ぜひご一読を!

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