中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
中国の駅前にコインロッカーがあったとしたら

 夜中、駅前のコインロッカーを運営する会社に密着した番組を放映していた。使用期限がきても持ち主のあらわれないロッカーをあけて中身を確認すると、数年昔の雑誌の束、着替えなどお泊りセットと思われる荷物、なぜか何年も前の食べかけの食べ物など、それはもういろいろよくわからないものが出てくるという話である。

 

 例え持ち主が判明しても、理由があって取りに来ないだろうから、連絡はせず、一定期間保管し処分するという。

 ロッカーに放置されたモノから、社会の片隅に沈殿した澱をほんの少しのぞき見するようだった。

 

 それでふと、仮に中国の駅前にコインロッカーがあったとしたら、期限切れロッカーの中に、どんなものが入っているだろうか、と妄想してみた。

 

 私が滞在していた10年の間、中国の駅前で、いわゆるコインロッカーを見かけたことはなかった。というより、世界的には、コインロッカーがこんなに無造作にある日本のほうが珍しいかもしれない。

 

 では中国にコインロッカーが皆無かというとそんなことはない。スーパーの入口には無料のコインロッカーまたは荷物預かり所がたいてい必ずあり、入口の警備員に、バッグは預けるように言われる。つまり、このロッカーは客の便便宜のためではなく、店側の万引き防止という便宜のために設置されたものなのである。

 

 振り返れば、中国では、客の便宜のためのコインロッカーをみた記憶がない。

 そもそも当時は自動販売機もまだ珍しいくらいだった。現金を投入するタイプのものは、盗難のリスクに加え、偽札を入れてお釣りで現金ゲットという用途に使われるリスクもあった。

 

 それで、一大観光地など、人が集まる場所では、狭い間口の掘っ立て小屋のような荷物預かり所が儲け商売となっていた。ただし、そういうところは、紛失の保証もなにもないので、荷物を預けるのはなかなかスリリングだった。

 

 いまはスマホ決済がすっかり定着し、自動販売機も日常的に目にするようになった。ならばコインロッカーも出現しているだろうか。

 北京ではいまのところ見たことないが、もしあったとしたら、期限切れのロッカーにはどんなものが入っているだろうか。

 

 と、妄想しかけ、そういえば、と思った。

 スマホ決済しているということは、預ければ預けるほど料金は徴収されるので、無意味に置きっぱなしにしたりすることもないだろう。

 

 仮に決済ができない状況が発生すれば、中国では、「理由があって取りに来ないだろう」という気遣いがされるとは思えないので、決済情報から持ち主が割り出され、請求がいくのではないか。

 あるいは、中身が「いいもの」だったら、転売されて換金されるか。

 

 それ以前に、監視のない公共の場所のコインロッカーは簡単に鍵をあけて盗まれるリスクを考えると、よほどセキュリティに力を入れないと、利用者は限定的かもしれない。

 

 などというきわめて現実的問題の妄想が湧いて出てきて、中身の妄想にはなかなかたどり着けそうもない。

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