某日、日本のスマホをzenfone3に買い替えた。
実はこのzenfone3、SIMカードの2枚同時使用が可能で、中国移動(チャイナモバイル)の4Gの周波数もカバーしている。
日本と中国では通信規格が異なるため、両方の電波を拾えて、しかもデュアルSIM+デュアルスタンバイというのは、日中スマホ2台持ちには救世主のような携帯である。しかもけっこう高性能で安い。
(※追記:ファーウェイのP10もデュアルSIM+デュアルスタンバイで、中国移動の4G周波数をカバーしているようです)
ただ、私の場合、チャイナモバイルのSIMカードが2Gのカードのままだった。
これでは昨今話題のwechatペイは使えないし、タクシーも呼べなければ、シェアサイクルのモバイクも利用できない。
それどころか、グーグルマップの中国版「百度地図」が使えない。このため、前回、北京に行ったときは、友人から送られてきたマップを開けず、グルグルと迷子になり、先方をひどく待たせてしまった。
つまり、今のままでは、中国ですでに生活必需品となったスマホサービスを、何も使えないのである。
ということで、先日、北京に行った際、SIMカードのグレードアップをすることにした。
話によれば、在住者には無料でアップグレードされたSIMカードが郵送されてくるという。そうでなくても、営業所に行けば、その場で交換してくれる、という話だった。
が、これまで中国で、こういうことがすんなりいった試しがない。
まずは心の準備で、バトルモードにスイッチオン。
中国移動の案内サービスに電話をすると、ハキハキとしたお姉さんが明快に対応してくれて、即座に最寄りの営業所をショートメールで送ってくれる。ついでに、サービス評価をもとめるショートメールも送るので、最高評価のAを返信してね、と付け加えられる。
が、だいたい言われた通りに行っても、営業所がみつからなかったり、閉まっていたり、該当のサービスを扱っていなかったりする。
果たして本当に営業所はあるのだろうかと疑心暗鬼で出向いたら、ちゃんとあった。
しかも、受付のお兄さんがとても親切で、やはり即座に新しいSIMカードを出してくれる。スロットの関係でnanoSIMがほしいと言うと、microSIMの枠をプチっとはずしてnanoSIMにしてくれて、それをzenfone3にセット。
無事に中国移動の電波を拾って通話も可能、というところまで確認してくれたうえ、さらに、「microSIM 用の枠をつけなおせば、microSIMとしても使えるから、枠はスマホケースの裏に挟んでおくといいよ!」と、親切にアドバイスまでしてくれた。
もちろんアップグレードはタダ。
加えて、通信量をパックにしたい言えば、その場で通信パックを使えるようにしてくれる。
その間、他の客が来ると、私の対応をしつつも、別の客にもすばやく神対応。
お兄さんが一人忙しくくるくると動き回っている後ろで、やる気なさそうなスタッフが二人、手持無沙汰にゲームをしているのは少々気になったが、もしかしたら業務範囲が違うのかもしれない。
なにはともあれ、完璧なサービスで、データ通信のパック料金を払った以外、特に金銭の要求もなし。
中国でこんなすばさらしいサービスを無償で受けられるようになったなんて!と思わず感激。
帰り道、さきほどの電話案内にAの評価を返していると、再びショートメールが届いた。
見れば、今度は営業所から評価を求めるショートメールだった。
営業所では、私の携帯番号が残るようなことは何もしていない。
なのに、なんでわかったんだろうと首をひねって、はたと思い当たった。
そういえば、新しいsimカードが通信可能かどうか確認する際、受付のお兄さんに言われるまま、彼の携帯に電話をかけたのだった。
一瞬、え?とは思ったものの、あまりに自然に言われたので、親切なのかなと思っていた。
でも実際は、客からの評価が彼のインセンティブにつながるので、早々に、私の携帯番号を入手していたのだろう。
後日、銀行で換金した際も、窓口のお姉さんがえらく親切だなと思ったら、やはり手元の評価ボタンで最高を押してくださいとリクエストされた。
中国のサービスはずいぶんスマートになったと思う。
でも、その親切はきっとタダではない、のである。