中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
北京的迷子犬の行方

 少し前、北京で飼っていた犬を逃がしてしまった、という人からこんな話を聞いた。

 

 中国では、犬の散歩でリードをする人はあまりいない。

 そのときも、近所の公園をリードなしで好きに歩かせていたそうだ。

 が、ふとした拍子に見失ってしまった。名前を呼んでも姿を見せない。

 

 困ったご両親はさんざんあたりをさがしたものの、結局、その日は犬を見つけることができなかったそうだ。

 実はその犬は娘さんがとてもかわいがっていたのだそうで、犬がいなくなったことを知った娘さんは、大変なショックを受けた。

 

 では、どうやってさがすか。 

 ネットでいなくなった犬の探し方を「百度」すると、(1)張り紙をはる。賞金もかける(←ここ重要)(2)QQや微信などあらゆる手段をつかって探す。賞金額も明記する(←ここ重要)(3)いなくなった付近の監視カメラをチェックさせてもらう(←中国の路上にはあちこちにカメラがある)(4)動物病院にケガをして運び込まれた犬がいないかたずねる(5)犬のペット市場を探す(←ブランド犬は売れるので、高そうな犬がフラフラと歩いていると、捕まえて、転売されるそうだ)などと書かれている。

 他にも、犬肉レストランを探すなどというブラックジョークなのかどうかよくわからないものあったりする。

 

 そのときは、娘さんが近所に聞いてまわり、ちょうど散歩させている時間に保健所の野良犬狩りがあったことがわかった。

 となると、公園にいた犬たちは北京郊外の収容所に運ばれた可能性が高い。

 が、どこの収容所につれていかれたかわからない。

 

 2005年に施行された北京市収容動物管理弁法によれば、15日をすぎて引き取り手のなかった動物は、動物防疫監督机構の責任によって処理、つまり殺処分をされる、とある。

 

 ご両親はもうあきらめたらと言ったものの、娘さんは絶対に探すと、それはもう必死で役所に電話をしてたずねてまわったそうだ。

 それで、そのとき捕獲された犬が入っているであろう収容所をつきとめた。

 

 郊外にあるその施設まで足を運ぶと、何百匹という犬が檻の中でひしめきあっていたという。 

 何度も檻の前をいったりきたりして探すのだが、どこも犬づくしで、とても自分の犬をみつけることができない。

 

 施設内を2周して、同行していたご両親がもう帰ろうと促すと、娘さんは泣きながら犬の名前を叫んだ。

 すると、群れの中から、一匹、ぴょんっと飛び上がった犬がいた。

 それが、まさに、いなくなった犬だったそうだ。

 こうして奇跡的に取り戻すことができた。

 

 という、実に感動的な話なのだが、冷静に考えると、北京ではあれだけペットブームで犬があふれまくっているのに、街中で迷子の犬や捨てられた犬をあまりみかけないということは、つまりそれだけ「清掃」されている、ということのようである。

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