中国在住10年を経て帰国。
中国、という日本とは違った視点で、
日本をあれこれ考えてみる、
日中文化考ブログ by 田中奈美
北京の郵便局がたまにフレンドリーなとき

 先日、北京の郵便局にEMSを出しに行ったときのこと。

 かなり急いでいたので、混んでないとよいなと思っていたところ、めずらしく待ち時間なくすんなりと自分の番が回ってきた。

 

 受付のお姉さんは20代くらいの若い女性で、これまためずらしくフレンドリーな人で、宛先の日本の住所を見て、「渋谷って知ってます?」と話しかけてきた。

 

 内心、早く手を動かしてくれないかなと思いつつ、「知ってるよ、北京の西単みたいなところだよね」と返す。

 

 すると私の焦りは全く伝わらなかったようで、お姉さんはまた「新宿って知ってる?」と聞く。

 どうやら日本にあこがれていているらしい。

 

「行ってみたいのよね〜」などと話しつつ、「でも、今は仕事で時間もないし、まあそのうちかしら」とお姉さん。

 話をするたびに手が止まるので、できればさくさく進めてほしいところだが、いつもつっけんどな局員の多い郵便局で、こんなフレンドリーなお姉さんにあったのは初めてだ。

 

 「急いでるんで」という言葉が咽喉まででかかりつつ、「日中友好」のためにと、丁寧に返す。

 いつものツンケンした局員もどうかと思うが、こんなフレンドリーなお姉さんも、実は客のことはあまり考えていない、という点で同じかもしれない。

  

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中国的罵り言葉

 ある日、北京のアパートに帰宅すると、改修工事をしている斜め向かいの部屋の作業員が、階段の踊り場で、台所のシンクをガーガーと大音響をたてて、カットしているところだった。

 

 私の部屋の目の前なので、「こんなところでやらないで、中庭か部屋の中でやってよ」といってものらりくらり。

 

 実はここの部屋のオーナーとはトラブル続きだ。そもそも休日の朝8時から大音響の工事を始めるという傍若無人さで、これまでだいぶやりあってきた。

 大連の人だそうで、商売かなにかで一発あてて、北京で部屋を買ったという経緯らしい。

 

 作業員に文句をいっていると、オーナーも外でに出てきたが、こちらものらりくらり。

 そうこうしているうちに、隣の青年が出てきた。

 彼は今回の改修工事では一番の被害者で、オーナーとはほぼ毎日激しくやりあっている。

 

 それで今回も、「お前らいいかげんにしろよ!」と怒鳴り、私に加勢してくれる。

 そうすると、オーナーのほうも「お前こそいい加減にしろ!」とやりかえし、このあたりから、激しいののしり合いが勃発。

 

 青年が、「シャービー!」と北京および北方地域では最大級の罵り言葉を吐き捨てると、相手は「なんだと!!」とさらに火がついた。

 ちなみにシャービーとはどうしよもないバカといった意味だが、その言葉があたえる衝撃は、ガイジンの私にはいまひとつピンとこないほど相当なものであるようだ。

 

 続いてすかさず青年が、「外地の成り金やろうが、ちょっと金があるからって得意になってじゃないよ。うちは代々北京で暮らしてきたんだ!」といったことを言う。

 

 これまた私には罵り度のニュアンスはよくわからないものの、大連のオーナーが怒り狂ってくるところをみると、相手を田舎者扱いする最大限の侮辱言葉であるらしい。

 

 さらに加えて文字にするにははばかれるのだが、「俺のおしっこはお前のクソよりきれいだ」的な北京の下町的罵り言葉が加わる。

 

 これに対し、大連のオーナーも何か言葉を返していたが、そちらは聞きとれず。

 そうこうするうち、1階のおじさんがかけつけて、「まあまあ、もうそのへんでやめておきなよ、お隣さん同士なんだから」という感じで双方をなだめ、作業員はしぶしぶシンクを家の中に運び入れ、一件落着。

 

 中国は他人の目を気にする文化がない分、罵り言葉も多彩だと、改めて思う一幕だった。

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警察ジェントルマン

 帰国したその日、成田空港からスカイライナーに乗ろうとすると、発券機の前を警察がものものしく取り囲んでいた。

 なんだろうと思いつつ、発券機に近づこうとすると、「そちらにはいけません」と止められる。

 

 「なんでですか?」と問えば、「警戒中なので」とよくわからない理由。

 中国では、よくわからない理由の通行止めは基本的に要人が通過するといった理由である。

 

 そこで「要人でも来るんですか?」などと問うと、「不審な荷物がありますので」とのこと。

 みれば発券機の前にポツンとスーツケースが置き忘れられていた。 

 

 続いて警官たちは「ちょっと失礼します」などと言いながら、立ち入り禁止テープをはりはじめた。

 その誘導の仕方がまた、対中国比ではなかなかジェントルマンである。

 

 中国ではこういう場合、有無を言わせず、顎であっちに行け、みたいなハードボイルドな対応となる。

 

 こういう光景をみると改めて中国というのは、権力者と非権力者の境界が明確にわかれていると思う。

 たとえ警察であってもそれが行使する権力は大きく、人民はもっぱら上の都合で、問答無用に排除される。

 そして統治する側とされる側の関係は対立するか、利用しあって儲けるかのどちらかだ。

 

 対する日本は権力を持つ者と持たない者の境界はあいまいだ。

 たとえ総理大臣であっても、マスコミにあれこれこきおろされる「普通の人」である。中国では絶対にありえないことだろう。

 でもこの「普通」が、平和のもとの一要素ではないかと、対中国比ジェントルマンな日本の警察に、そんなことを考える。 

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北京のマンション、東京のマンション

 北京で借りているアパートはいま、改修工事ラッシュだ。

 経済成長のかげりがこんなところに出ているのだろうか、今年秋は特に売りに出す人が多い。

 ただこのアパートは人気物件なのでたちまち買い手がつき、また中国では新しく買った人が部屋を大々的にリフォーム、というより大改造するのが常のため、あちこちでガガガガと大音響が響き渡っているのである。

 

 特にこのあたりの超有名小学校の学区内にあるマンションは需要がとても高い。

 そのため販売価格も年々べらぼうに高騰しており、少し前に不動産屋をみていたら、今借りているアパートから徒歩3分の物件で、3LDK6070563万とあった。

 すなわち日本円では約9000万円である。

 

 でもそれで買える物件はといえば、もともと低所得者向けに作られた安マンションゆえ、つくりは雑で、天井が落ちたり、壁に穴があいたりとそれはもうトラブルがあとをたたない。

 以前、同じマンションの別の部屋に住んでいたことがあるのでよくわかる。

 

 その上、しょっちゅう住人が変わり、そのたびにリフォームが行われ、ガガガガと大音響が数日間にわたり響き渡る。

 管理もきちんとされていないうえ、公共の場をきれいに使うという習慣がないため、敷地内はだんだん薄汚くなってゆく。

 そして、購入者は土地の所有権を持てるわけでも当然ない。

 

 それでもただただ、有名学校に子供を通わせる親の需要があるというだけで、1億近い価格がつく。

 

 一方、世界的に高いといわれる東京のマンションでも、50006000万も出せば、都内の比較的便利な場所で、3LDKの新築マンションを買うことができる。

 しかも耐震性はきちんと考慮されており、いきなり天井が落ちてくることも、水道管が破裂することもまずないだろう。

 毎年、修繕金も積立てられ、定期的に修繕も行われる。北京のマンションのようにつくったらつくりっぱなしということもない。

 マンションなので所有できる土地の権利はたかがしているが、それでも借用地でないかぎり、所有権を持つことができる。

 

 何より、日本の場合、大手ディベロッパーによる大規模開発は、あくまで民間の市場活動であって、中国のようにディベロッパーが同地政府と組んで、利益を山分けするといった種類のものではない。

 中国は不動産バブルだが、そのバブルの背景には必ず政府がある。

 

 やがてそれほど遠くない将来に、壮絶なババ抜きが始まるかもしれない。

 それは多くの人が感じていることだろうが、近所の不動産屋の販売広告の、あまりに物件価値からかい離した価格を見ると、いまさらながらこのクレイジーな状況を懸念してしまうのである。 

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ある日、警察に通報したら。

 中国は国慶節で1週間の大型連休である。

 この間にたまっていることをいろいろやろうと思っていたら、朝8時半、突然、斜め向かいの部屋で、家を壊しているんじゃないかと思うほどのすさまじいドリル音が響き渡った。

 

 みると床のコンクリートをドリルでくずしているところだった。

 この斜め向かいの部屋、最近、売却され、新しい家主に変わったと聞いていたのだが、中国は家主が変わるたびに、部屋の改修工事が行われる。

 それも壁もぶちやぶるくらいの大工事だ。

 今回もそれが始まったと思われた。

 

 ただ、北京市の法律では、法定休日と昼及び夜間は大音響の改修工事をしてはいけないことになっている。

 私の向かい、くだんの部屋の隣の青年も、私の階下のおばさんも怒りまくりで部屋を飛び出してくると、業者に文句を言っているのだが、のらりくらりと話をはぐらかされて、らちがあかない。

 

 続いておばさんが家主に電話をしたのだが、こちらものらりくらり。

 怒り狂った隣家の青年が、警察に通報するも、別の部署に電話しろとたらいまわしされる状況で、半日以上すったもんだしたあげく、私が改めて通報することになった。

 

 それというのも、中国の警察は、外国からの「お客さん」であるガイジンが通報すると、場合によっては自国の一般庶民が通報するよりうごいてくれることがあるのだ。

 

 そこであえて大音響をバックに、110番に電話をかける。

 すると、果たして10分後には警察が来てくれた。

 

 それもかなり大柄でいかつい2人組である。

 これは頼もしいご面相だと思っていたら、「通報者は誰だ?」とこれまたいかつく問われ、申し出れば「身分証を提示せよ」と大変怖い感じである。

 そしてパスポートを差し出すと、唐突に小型カメラがついたような機械を、私の目の前に掲げられ、「名前は?」「出身は?」とたずねられる。

 

 おそらく通報の記録を残すためのビデオの類だと思うのだが、なんだかちょっと犯罪者になった気分である。

 もっともそのいかつく威厳たっぷりのおっかない様子で、改修工事の業者にも「休日は工事禁止だぞ! わかっているのか!」とどなってくれたおかげで、工事はストップ。

 

 数時間後には家主がとんできて、「あと、便器を取り壊すだけなんで、ほんと、すぐすみますから」と懇願され、隣の青年も階下のおばさんも了承。

 実際、工事は1時間ほどで完了し、再び静けさが戻った。

 

 ただ、と思う。

 日本では何かあるとすぐ「警察」となるが、中国の一般庶民はあまり警察とかかわりあいになりたがらない。困ったことがあっても、できることなら、自分たちでなんとか解決しようとする。

 その理由がちょっとわかった気がする。

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宅配のオンライン集荷システムを利用したら、全然オンラインでなかった件。

 中国で宅配業者を利用するたびに、たいていなにかしらかのトラブルが起きる。

 先日は、ある宅配業者のオンライン集荷システムを利用したときのこと。

 

 いつもは電話1本で来てもらうのだが、そのときは送り先が何か所もあったので、送り状をもってきてもらってから、住所を何枚も手書きするのが面倒く、たまに利用する宅配業者のオンライン予約サービスを利用してみることにした。

 

 この予約サイトには送り主と宛名の住所を書く欄があり、そこに必要事項を記入、さらに集荷希望日時も選択できるようになっており、午後4時を指定した。

 すると30分後、本部から確認の電話があり、午後3時から5時の間にうかがうがよいか、とのこと。

 

 「いいですよ」といって電話を切ったさらに1時間後、正午にドアがノックされた。出れば宅配のお兄さんで、近くまで来たのでついでに集荷するという。

 そしてなにも書かれていない送り状を1枚だけ差し出す。

 

 「いやいやオンラインで予約したし、そこで住所も全部書いたし、そもそも送り先は何か所もあるし」と言えば、「それは予約のためのもので、送り状は別に手書きして」という。

 おもわず「どうやって?」と問い返すと、「予約したパソコンの画面を見て写して」とお兄さん。

 

 一瞬、絶句し、それからふと、お兄さんは送り状を準備するのが面倒臭くてそんなことを言っているのかと思った。

 中国の宅配スタッフは、1件配達していくらの歩合制で、とにかく1分1秒を惜しんで配達しまくっているため、面倒なことはいっさいしてくれない。

 部屋が見つからないからと帰ってしまうことすらある。

 

 そこで、「今は出かけなければいけないから」と、集荷はいったんキャンセルし、本社に問い合わせてみた。

 ところがやはり予約画面の住所記入欄はあくまで予約のためのもので、それが送り状に印刷されて出てくるわけではないのだという。

 

 「それじゃ二度手間じゃない!」と言葉を返せば、「送付先は簡単に大体の場所だけ書いておけばいいですから」とのこと。

 しかしシステム上はがっつり番地まで記入するようになっている。

 地名だけ書けばOKのような注意書きももちろんない。

 

 送付状が自動で印刷されるサービスを受けたことのない中国の人であれば、ここで間違うことはないのかもしれないが、よその国の「便利さ」にふれていると、ついそれを基準に考えてしまう。

 

 結局、いつもの宅配業者に電話し、持参してもらった送付状に全部手書きしなおした。

 

 中国は時々、日本よりも便利では?と思うようなサービスもあるのだが、同時に一見とても便利そうながら、実はかえって全然便利でなかったりするサービスもそれ以上にある。

 そしてその不条理さがまた、半端でなかったりするのである。 

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宅配集荷再び

 宅配業者に、荷物の集荷を頼んだ。

 前回、集荷を依頼したときは、時間になっても配達員が来ず、さんざんすったもんだしたあげく、実は伝票が配達員まで流れていなかったことが判明。

 

 今回、同じ業者に電話をして、「前回、さんざんだったので、今回はちゃんとお願いします」と言うと、電話に出たお兄さんは「大丈夫です!」と元気いっぱいに回答、配達員は15時から17時の間に来るという。

 

 まあどうぜまたちょっとくらい遅れるんだろうなと思っていたら、午後1時すぎ、ドアをノックする音がした。

 開けると集荷のお兄さん。

 「15時から17時じゃなかったの?」と聞けば、「今時間ができたので来た」とのこと。

 

 ちゃんと集荷に来てもらえるのはありがたいのだが、結局、時間通りに来ないことにはかわりないのである。 

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冷蔵庫を買いかえるまでのなが〜い道のり

 北京で私が借りているアパートの冷蔵庫は96年製造のなかなか年季が入ったものである。

 古い型なので、モーター部がむき出しになっており、今年の猛暑で、それがお湯が沸騰しそうなほど発熱するようになった。

 

 幸い、冷却のほうは問題なく、故障したわけではなさそうだが、なにぶん古いため、このまま使用を続け、万一、漏電でもしたら発火しそうでかなりヤバい。

 

 大家さんに、「私も半額出すから、買い変えてほしいなー」と話をすると、「もう少し、使って様子をみてくれない?」と返ってきた。

 

 大家さんはとてもいい人なのだが、やはりまだ使えるものは使ってほしいのが心情だろう。

 それをあれやこれやと説得し、ようやく、買い替えてくれることになった。今ある冷蔵庫とおなじ2ドア130Lのもので、全額、大家さんが負担してくれるという。

 

 ありがたく待つこと3日。

 届いたそれは、1ドア80Lくらいの小さなものだった。

 

 大家さんに「だいぶ小さいよ??」と連絡をすると、「あら、間違えた、ごめんごめん!」という。

 そして予想通り、「それでとりあえず使ってくれない?」とのたまう。

 

 「とりあえず使う」もなにも、小さすぎて、もとの冷蔵庫にパンパンに入っている山ほどのものが全然入りきらない。

 「入らないですー」と泣きついて、交換してもらうことになんとか同意。

 

 しかし、実はこの冷蔵庫、最近どうやらネットショップにはまっているらしい大家さんが、中国のネットショッピングサイト「タオバオ」で購入したものだった。

 タオバオは、確かに家電ショップで購入するより1〜2割安い。しかしその分、交換や返品が面倒くさい。特にこんな大きなものの交換となると、それはもう大変だ。

 

 とりあえず小さい冷蔵庫は大家さんの運賃負担で返品、同じ店から大きいサイズのものを送ってもらうことになったのだが、返品が完了するまで、商品は発送されないという。

 おまけに返品は運送費を安くあげるため、時間がかかる。

 

 5日ほどじりじり待ち、ようやく返品が完了。

 さてこれで、大きいサイズの冷蔵庫を送ってもらえると思ったのもつかの間、「発送したと店から連絡があった翌日、今度は倉庫らしきところから連絡があり、「指定の白がないので赤を送る」という。

 

 「いやそれありえないから!」と電話を切り、慌てて大家さんに連絡。

 大家さんからクレームをしてもらい、白い冷蔵庫が手配されることになった。

 

 が、今度は3日待っても、4日待っても届かない。

 宅配業者のサイトで、伝票番号を検索すると、すでに3日前には近所の配達所まで届いている。

 

 この宅配業者、日常的に大型貨物を扱っているわけではないので、おそらく、配達が面倒臭くて放置しているのだろう。

 これまた大家さんから連絡を入れてもらうと「明日には配達します」ということだった。

 

 そこからさらに待つこと2日。やはり何の音沙汰もない。

 さすがにしびれを切らし、自分で宅配業者のクレーム窓口に電話、「明日から出張でいないので、どーーーーーしても今日必要!」とねじ込むと、2時間後に2人がかりで運んできた。

 

 もっとも彼らは、玄関先に置いていってしまったので、それを自分で部屋まで引き込み、砂だらけの汚れた段ボールを解体。

 でてきたそれは、最初の冷蔵庫よりも一回り大きいが、今の冷蔵庫よりも一回り小さいものだった。

 

 大家さんには縦横高さを全部送っていたはずなのだが、たぶんちゃんと見ていなかったのだろう。

 でももうこれ以上、大家さんを煩わせたくない。

 なによりもう、気力も体力も使い果たしてしまった。

 

 大家さんにはただ、到着の報告とお礼を告げた。

 ケチでシビアな家主が多い中で、彼女はちゃんと冷蔵庫を買いかえくれて、本当にありがたいと思う。

 でも実のところ、自分でお金を出して、ほしい冷蔵庫を買ったほうが100倍くらい楽だったかもしれない。 

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中国の人がアグレッシブになる理由

 あるときに大家さん宛ての本が、私の借りているアパートに着いた。大家さんに連絡すると、ネットショッピングの際に、送付先を間違って選択してしまったとのこと。

 宅配便で大家さん宅に送ってほしいと言う。

 

 そこで朝一で宅配を手配。

 午後1517時の間にとりに来るという話だった。

 

 もっとも中国で宅配を手配して、ちゃんと時間通りにとりにきたためしがない。

 今回も17時近くなっても音沙汰がない。

 

 念のため本部に連絡するとオペレーターは「配達スタッフに連絡して、電話を折り返します、よろしいですか」という。

 「じゃお願いします」と答えたものの、17時すぎても連絡がない。

 

 17時半くらいになってもう1度電話をするも、同じ対応。

 しかしやはり連絡がなく、18時近くなる。

 

 3度目、同じく本部に連絡をするとやはり「折り返します」というので、「全然折り返さないじゃない!」と切れる。

 「責任者を出して!」と言ったところで、電話をガチャ切りされた。

 

 もっと早い時間なら別の宅配業者に切り替えるのだが、もう18時近いので、いまさら別の宅配業者を手配することができない。

 仕方ないので、クレーム窓口に電話をし、開口一番「ものすごく怒ってるんだけれど」とどすをきかせ、「直接、集荷所に連絡をつけられる方法を教えてください」とすごむ。

 

 するとここでようやく、配達エリアの事務所の番号を教えてくれた。

 しかしそこに電話しても、「配達スタッフがいまどこにいるかわからない」とのたまう。

 ならば自分で電話するからと、配達スタッフの携帯番号を入手。

 が、教えられた携帯番号は、全然関係のない人のものだった。

 

 再び事務所に電話をするも、すでに営業時間外。

 もう一度クレーム窓口に電話をし、「ものすごくものすごーーーく怒ってる」とすごみつつ、再び事情を告げる。 

 それにもかかわらず、電話口のお姉さんは「では、配達スタッフに連絡して、電話を折り返します、よろしいですか」と同じことを繰り返しかけたので、「よくない!」と叫ぶ。

 

 ここでようやく、マネージャーの携帯番号を入手。

 もしかしてまた間違った番号かもと思ったが、今度はすんなり電話がつながり、ちゃんとサービス業の訓練を受けているらしい話し方の女性が出た。

 

 背後ではジャンジャン電話がなりまくっているので、おそらくここはクレームを一括処理する場所なのだろう。

 女性は一通り私の話を聞くと、「では、集荷所に連絡をして20分以内に必ず私からお返事します」とテキパキ話す。

 

 実際には1分もしないうちに電話がかかってきて、「配達スタッフの車が壊れてしまい、遅くなっています。あと40分くらいでそちらにつきます」とのこと。

 

 この時点ですでに18時過ぎ。

 「えーーーー」と大げさに声を上げ、「18時に友達と約束していたのに! 車が壊れて時間通りに来られないなら、来られないって、一言連絡くれるべきじゃないですか?!」と怒ってみる。

 ちなみに約束はないのだが、そうでも言わないと、いつ集荷に来てもらえるかわからない。

 

 幸い、電話口のお姉さんはクレーム処理のプロらしく、「できるだけすぐにうかがうよう、配達員に連絡します、もう少しだけお待ちください」とソツがない。

 

 これだけ念をおしておけば、遅くとも40分後には来るだろうと思いつつ、「友達待たせているんで、どうかどうか1分でも早くお願いしますね!」と懇願モードに切り替えダメ押しをし、電話を切る。

 

 その1分後。

 ドアをノックする音がして、開けてみたら、汗だくの配達員が立っていた。

 「やればできるじゃん!」と咽喉から出かかった言葉を飲み込みつつ、「なんでこんなに遅くなったの?」と聞いてみたら、「伝票が配達スタッフまで回ってなかったんです」と彼。

 

 彼は彼で「なんでこんなにせっつかれんだろうなー」と思いつつ、とにかく、客が烈火のごとく怒っていると言われ、飛んできたそうだ。

 「車が壊れた」というのはいったいなんだったんだろうと思うのだが、それも客をいなす口実の一つなのだろう。

 

 こうして無事、集荷完了。

 でもこんなことは序の口だ。

 

 以前よりサービスレベルは向上したとは、中国で日常生活を送るということは、大なり小なりバトルの連続だ。

 そして同じようなことがあるたびに、中国人のアグレッシブなメンタリティはこうした環境によって培われたものに違いないと、思わずにはいられない。 

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北京下町の親切

 昨今の中国はなにかとせちがらい。

 ちょっとした買い物でも、ともすれば騙されかねないし、銀行に換金しに行けばトラブルが起き、プロパンガスを買いけば大バトルが勃発するなど、とにかくちょっとしたことでもいちいち体力を消耗する。

 

 くわえてみながみな、いかに自分がソンをしないようにするか、いかに上手く立ちふるまうかに一生懸命で、常にどこか緊張しているようなところがあると感じる。

 

 常々、なんて疲れる社会なんだと思っていたのだが、先日、こんなことがあった。

 市場(いちば)で山ほどの野菜を購入、自転車の後ろのカゴに入れ、移動中、40℃を超える直射日光でいたまないよう、開いた日傘をカゴにかぶせ、そのスタイルで胡同(フートン)の路地を走っていた。

 

 すると「傘、飛んだよ!」という女性と男性の声がした。自転車を止めてみると、傘が地面に落ち、少し後ろでゴミ集め用の荷台付き自転車をこいでいたおじさんが拾ってくれているところだった。

 女性の声は、斜め横の家の前にいたおばさんらしかった。

 

 2人に礼を言って傘を受け取り、カゴにさそうとすると、おじさんは「いやいやその角度じゃまた落ちちゃうよ」などと言い、あれこれやって、傘が飛ばないように固定してくれる。

 

 北京の下町は、もともとあつっくるしいまでのおせっかい文化がいい意味で残っているところだと思うのだが、それももうここ何年もお目にかかっていなかった。

 おまけにこの国では、身うちにはやたらと親切でも、見ず知らずの人には厳しく、むしろ他人に親切などしたらかえってバカをみるといった雰囲気すらあるくらいだ。

 

 一瞬、「親切のふりをしたスリ?!」と緊張したのだが、おじさんは傘を固定すると、再びゴミを積んだ荷台つき自転車をこいで、横町をまがって行った。

 このせちがらい世の中で、こんなちょっとした親切が生きながらえていることに、一瞬、呆然としつつ、うっかり、日本で受ける親切の10倍くらいありがたく感じてしまった。 

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